東京都福祉サービス第三者評価  評価結果

園目標・保育目標を事務室と玄関に掲示している。園目標・保育目標は、「園のしおり」やホームページにも記載し、保護者・職員・関係者等に周知している。また、保護者に対して、入園説明会・全体保護者会・クラス懇談会などで、園の目指す方向を説明し、その理解の浸透を図っている。年度初めの全体保護者会では、当園のビジョンがわかりやすく伝わるよう、プレゼンテーション用ソフトを使って工夫している。年度初めの職員会議で、全職員で園目標・運営方針などを確認し合っている。

目黒区立保育園運営に関する会議体を作成しており、「園長会」「園長協議会」「主任会」「看護師協議会」「栄養士協議会」「障害児担当者会」「子育て支援担当者会」などの階層別職種別テーマ別の園横断的な連絡会を設けている。担当者がこれらの会議に参加し、区の保育方針を情報収集し、共通課題について検討している。他方、園長は、職員個々が自分で気づいて、自発的に動き、主体的に学んでいくような自律型組織を目指している。そのため、幹部層が率先垂範で保護者対応・保育への姿勢を示している。

事業計画書に園内の会議体を明示し、重要案件の検討の場を明らかにしている。職員会議（月1回）を月1回、開催し、全職員が参加し、園長会の情報伝達や各クラスからの月案報告などを行なっている。昼の打ち合わせは各クラス会議・調理打合せ・用務打合せ・献立反省・事故検討委員会など、夜の打ち合わせは０歳クラス・１歳クラス・２歳クラス・幼児クラス・食育・環境・園内研修などで、職員間の情報共有を行なっている。緊急案件が生じた際は、すぐ招集をかけ、リーダー層が集まり、対応策を検討し、改善に向けて取り組んでいる。

区全体で「職員倫理条例」「職員倫理規則」を定め、公務員として遵守すべき事項を明らかにしている。また、区保育課が「保育園におけるお付き合いガイドライン」を作成し、保護者などとの関係で注意することを具体的に明示している。「全国保育士会倫理要綱」もマニュアル集に綴じてあり、必要に応じて、確認し合っている。そのほか、個人の尊厳に関する研修に職員を派遣し、受講後、他職員へ報告し、全職員で情報共有し、日々の保育に反映している。

区立直営園としての役割を認識し、地域の子育て中の親子を支援する「子育て支援事業」に取り組んでいる。4月は交通安全指導、5月は離乳食講座、6月は「ちいさなおはなし会」「赤ちゃん体操」などで地域の親子が参加している。また、園庭を開放し、地域の子どもたちが園児とふれあう機会も提供している。栄養士が離乳食の相談に応じるなど、職員の専門性を活かし、育児相談に応えている。納涼会・運動会などの行事にも地域の方々を招いて開催している。地域の家庭的保育者からの電話相談にも応じている。

「体験学習（交流学習）・ボランティア等の受け入れ手順」「ボランティア等受け入れ依頼書」を作成し、それに沿って受け入れている。活動初日のオリエンテーションで、個人情報保護について具体的に口頭で説明している。看護専門学校・大学などからの実習生も受け入れている。一方、同一建物内の児童館学童保育クラブがあり、交流の機会もある。また、近隣の小学校・幼稚園・保育園との交流も行い、地域の子どもに関する関係機関との連携を図りながら、子どもたちの生活の幅を広げる取り組みをしている。

園内に苦情解決制度について掲示している。そこには、当保育園に関することは当園の園長、保育全般にかんすることは区子育て支援部保育課長、そのほか区保健福祉サービス苦情調整委員制度があることを明示している。保護者に対して、入園説明会・全体保護者会などでも、苦情解決の体制について説明している。保護者からの意見・要望・苦情に対しては、速やかな解決に努めており、その対応を記録している。いつでも誰でもが意見を投函できる意見箱も設置している。

日常的に連絡ノート・送迎時の会話などで保護者の意向・要望を把握している。また、保育参観・個人面談などでも、保護者の思いを把握し、迅速な対応に努めている。保護者の要望・意見を受けて、自転車置き場を設置し、子ども・保護者の安全性に配慮した。利用者調査では「あなたが不満に思ったことや要望を伝えたとき、職員はきちんと対応してくれていると思いますか」に関して、回答者の80.2％が満足との返答で高い満足を得ている。

同一建物内の児童館学童保育クラブや小学校との交流を通して、地域の子どもに関わる情報を収集している。そのほか、児童委員、小中学校の関係者が出席する地区連絡協議会や目黒区子ども青少年事業担当者連絡調整会にも参加している。その他、区の世論調査や「地域福祉計画」「次世代育成支援行動計画」等から地域のニーズを把握している。必要な情報を職員に職員会議などで伝えたり、文書で回覧している。

区として「子ども総合計画」が策定されており、区の保育園の方針や目標を確認したうえで、当園の事業計画を策定している。事業計画では、運営方針として4つの重点課題を掲げている。その運営方針のもと、各係・職務分担を決め、〔園内研修〕〔子育て支援〕〔避難訓練〕〔環境改善・事故検討委員会〕〔保健〕〔給食〕〔用務〕などの年間計画を立案している。その後、月１回の職員会議などで進捗状況を確認するとともに、半期ごとに見直しをしている。必要に応じて、計画の見直しをするなどして着実な計画実行に努めている。

防災係を配置し、避難訓練計画を作成し、月１回、計画に沿って実践している。水遊びやプールが始まる前の6月には消防署職員より小児の救命法を学んだり、併設の学童クラブとの総合訓練も行なっている。地震を想定した訓練では、幼児は防災頭巾を被り靴を履いて避難所まで歩いて避難している。不審者の侵入等の防犯対策・散歩時の安全対策に関してもマニュアルを用意し、さまざまな場面を想定した訓練を行なっている。訓練実施後は、子どもの状態と動き、保育士の状態と動きなどについて反省し、課題をあげ、次回の改善につなげている。

事故検討委員会を中心にどのような小さな事故やヒヤリハットも「伝言メモ」を活用し、再発防止に取り組んでいる。事務室の掲示板に伝言メモを掲示し、全職員が事務室に入ったら、必ず伝言メモを見るようにしている。「伝言メモ」への記入が定着しており、職員の危機意識を高めている。怪我が起きた時の検証メンバーは保育士だけでなく看護師・用務・栄養士も関わり様々な視点から検証している。施設の老朽化が進んでおり、職員個々が危険個所を早期発見し、できることはすぐに改善し、子どもにとって安全な生活環境の整備に取り組んでいる。

区人事担当者が職員の募集・採用を行なっている。育休などで緊急に人員を補充する必要が生じた際は、派遣職員などで対応している。園内のクラス担当などは園長決裁である。区として目標管理制度を構築し、人事制度の中で人材育成の基本方針、職員に必要な能力などを明確化している。「ステップアップシート」「自己採点シート」を使って業績評価を行い、評価を処遇に反映している。また、年３回、園長が職員個々と考課面談し、強みや弱みを把握し、育成目標を定め、能力開発につなげている。

職員育成は、園内研修・区主催の研修・外部研修・ＯＪＴ・自己啓発などで行なっている。園長の個別面談を通して、職員個々の希望を受け、区人事課および保育課主催の階層別職種別テーマ別研修に派遣している。初級・中級・リーダー研修などの層別研修に派遣する際は、研修目的を明確にし研修効果を高めるために、受講者は事前レポートを作成し、主任・園長が面談し、レポートを確認してから研修派遣している。研修参加表を作成し、職員個々の研修参加の実態を一目でわかるようにし、確実に職員一人年1回以上は研修参加できるよう支援している。

区の安全衛生委員会の下部に「保育園安全衛生委員会」を置き、当園も安全衛生委員を配置し、より良い職場づくりに取り組んでいる。常勤職員を対象にストレスチェックのアンケートを実施している。アンケートの結果、有給休暇の取得や残業が課題と挙げられている。職員アンケートから、職場内の人間関係は良好であることがうかがわれる。各クラス・各職種の垣根を越え、園全体で子どもをみていくという組織づくりを行い、保育の質向上を図っている。

「文書管理規程」「電子情報処理規則」「保育園共通ファイル基準表」にて各種書類と保存期限などを定め、これに則って取り扱っている。子どもに関わる記録類はファイリングで整理し、鍵をかけ保管している。ファイリングの手引きに沿って、毎年度ごとに整理し、必要な書類をいつでも取り出せるようにしている。職員全員が多くの個人情報を保持しているという意識を持ち、情報が漏れることのないよう、各種会議・打ち合せなどで繰り返し指導教育している。
　　　　　

区個人情報保護条例により、個人情報の開示、訂正等を求める区民の権利を保障している。また、個人情報の保護に関する必要事項を定めており、ホームページにも公開している。保護者に対して、入園時、「保育園における写真及び動画撮影について」の文書を配布し、園内での写真及び動画撮影についてのルールについて説明している。また、「保育所児童保育要録」を小学校に届けるにあたっては、年長児クラスの保護者に対して、開示請求できることを伝えている。

正規職員を含む非常勤職員に対しても労働契約書の中で守秘義務について明記し、署名捺印をもらっている。年度初め、職員個々に配布する「仕事をすすめる上での基本的事項」に個人情報の扱いについて〔保育の記録記入は基本的に園内で事務をする〕〔保育室や廊下などに個人を特定するもの（住所、生年月日等）は掲示しない〕などを明示しており、その徹底に努めている。実習生・ボランティアの受け入れにあたっては、口頭で個人情報保護について説明している。

区のホームページや区発行の子育て情報誌「めぐろホッ！と子育て」に所在地やクラス別定員、職員数などを掲載している。また、学童保育クラブとの複合施設で、住宅地の中にある日当たりの良い園であるなどの園の特徴も紹介している。また、園児が散歩に行った時など出会った親子連れに、園で作成した「遊びに来ませんか」というリーフレットを配布している。リーフレットは受け取った方のバックに入れやすいサイズとしてＡ６サイズを選び、子どものイラスト入りで親しみやすいものにし、行こうと思った人がすぐわかるように地図も書き入れている。

設置者である区には、運営に関する様々な情報を提供している。子育て広場を実施している地域の保育園や児童館には運動会や納涼会等のポスター掲示をしてもらっており、児童館の行事ポスターも園に掲示をするなど協力し合っている。近隣の小学校には納涼会や運動会の案内を届けており、夏季にはプールを使わせてもらったり秋の運動会には校庭を貸してもらっている。近隣の私立保育園２園にも運動会の案内をしている。「子育て支援行事予定表」を住区センターや図書館などの区の施設で配布している。

施設見学や体験保育の希望にはできるだけ沿うようにしている。相手の目的や希望・要望を聞き、園のスケジュールと合わせて受けているが、平日の子どもが遊んでいる時間帯や、園庭開放・身体測定・体験保育などの子育て支援事業を実施している時間帯を伝えるようにしている。施設見学者や問い合わせの対応は園長や主任がしており、玄関ホールに掲示している園目標や献立表、園だより、今日の活動などを見てもらいながら説明し、施設見学をしてもらっている。必要に応じて、区発行子育て情報誌「めぐろ子育てホッ！とブック」を配布している。

４月１日には親子登園してもらい、子どもをクラスの保育者に託した後、保護者には入園説明会を実施している。入園説明会では、保育園のしおりを基に、概要や園目標、保育方針、保育課程、保育園での生活の流れ、行事予定、給食や健康、危機管理についてなど話をして了解してもらっている。また、非常災害連絡簿・災害時引き取り確認表などの緊急事態対応の書類や園だより、献立表、行事予定表、めぐろの保育園ガイドなども配布している

３月の第１週に新入園児面接を実施している。事前に、入園までの子どもの状況を記入してもらう「児童票」と「児童票の記入の仕方」の見本を渡し、記入された児童票を基に面接をしている。親子で来園し、子どもは園医による健康診断を受け、入園までの子どもの姿に関する項目は保育士、健康に関する項目は看護師、０歳児の離乳食時期の子どもの食事に関する項目は栄養士がそれぞれ保護者に聞き取り、確認をしている。家庭の個別事情や保護者の要望、保育時間については園長が面接をしている。入園面接の情報は報告会を実施し職員間で共有している。

０歳児クラスのスローガン「ありのまま子どもも保護者も受け入れて、しっかり築こう初めの一歩」の通り、慣れるまでの保育は、保護者の仕事の状況により、子どもの慣れ具合や食事の喫食状況、子どものリズムなどを大切にしながら緩やかに保育時間を伸ばしている。入所した子どもの不安を少なくし、きめ細やかな個別対応ができるようにフリー保育士が応援に入るなど人手を確保している。子どもだけではなく、保護者の不安な気持ちに寄り添い、よく話を聴き、子どもの様子を伝えることを心がけている。

保育士は登園後の子どもの状況を観察し、口頭や連絡帳により把握した家庭での子どもの心身の状態を保育日誌に記入し、看護師も全園児の健康状態を視診し、保育士からの情報も加え保健日誌にそれぞれ記録し、園で配慮できることを検討し児童票にも記載している。家庭の状況や保護者の希望・意見については、年度当初の全体保護者、年２回のクラス懇談会、保育参観後の面談などを通して収集している。児童票には身体測定や健康診断結果などの健康記録と、保育経過記録、子どもの姿と保育上参考となる事項等を記載している。

保育課程に基づき立案している年間指導計画は、各クラスとも養護と教育の各５領域を考慮して作成している。それに沿って月間指導計画（月案）、週案を作成している。月案はクラス会議を月の中旬過ぎに実施して、子どもの姿やクラスの状況を把握し、次月の目標や具体的な支援の方法について話し合った上で作成している。０・１・２歳児組は毎月個別指導計画を作成し、個別日誌をつけている。保育の計画については年度当初の全体保護者会やクラス懇談会で説明している。今週の主な活動は各クラスの廊下に掲示して保護者に伝えている。

朝のミーティングは8時35分から園長・主任、ブロックリーダー、用務が参加して実施し、内容を各クラスに配布し共有化している。クラス打ち合わせは全体の中で体制を取りながら昼間の時間に行い、担任同士で情報を共有できるようにしている。職員会議は月１回17時15分から１９時15分で実施し、夕方の当番職員以外の全職員が参加して、各クラスの子どもの姿や翌月案、行事の取り組みなどを話し合っている。怪我などの伝達は細かなことでも伝言メモに記入して事務室に届け報告し、夕方当番や朝当番に引き継ぎ、保護者に伝達する方式にしている。

児童票には入園前の生活や家庭状況・健康を記載し、子どもの発達状況は「児童票記入の手引き」をもとに、「発達の主なあらわれ」に0～2歳児は毎月、3～5歳児は期ごとに年4回、子ども一人ひとりの成長の姿を記録している。月の職員会議や前期、年間反省会議では個別の子どもの育ちについて報告があり、全職員で共有化を図っている。また、年度末3月に1年間の子ども一人ひとりの発達経過や気になる育ちについて「引継ぎと個別対応」に記載し、児童票とともに次の担当職員に引き継ぎ、保育の継続性を図っている。

保育目標の「自分で考え判断し、協力できる子ども」の育成を目指して、保育室内の環境は、子どもが自分で自由に遊びを選択して遊べるように、ままごと、絵本、積み木などの構成遊び、絵を描いたり制作したりの机上遊びなどのコーナーを設定している。乳児クラスでは、発達に合わせて手先の遊び用の洗濯バサミやチェーン、穴に落して遊べる手作りの玩具や牛乳パックで作った積み木、再現遊びに使う人形や布団、お皿、コップなどをコーナーに分けて、子どもが使いやすいように低い玩具棚に並べて置いている。

子ども同士のトラブルには、職員が仲立ちとなり、それぞれの子どもの気持ちを尊重し見守り、年齢に応じた言葉で代弁したり、子どもたちで自分の意見を伝え合い、相手の思いを知り、話し合って解決できるよう支援している。職員は常に子どもに肯定的な言葉で伝え、周囲の子どもたちが動揺することのないよう配慮している。かみつきや引っかきなどがおきた場合は、職員間で共有し、保護者には丁寧な対応に努めている。事故検討委員会で「傾向と改善」を検討し、再発防止に努めている。

年度当初のクラス懇談会で資料を配布し、基本的生活習慣の大切さについて伝えている。日常保育から子どもの発達過程を把握し、発達年齢に応じて保護者と連携を図り、家庭の子育て観や意向に寄り添い、無理なく進めている。0～5歳児の発達の連続性を考慮した年間・月間指導計画で、基本的生活習慣の自立に向け取り組んでいる。特に育ちの基礎となる0～2歳児は「個人カリキュラム」を作成し、離乳食の進め方やスプーンから箸への移行、トイレトレーニングは子どもの排泄間隔を考慮し、家庭と連携を取りながら、きめ細やかな保育を行なっている。

午睡は、子どもの状態や体調に合わせて対応するよう心がけている。0～2歳児は登園時に保護者から前日の様子や連絡帳から家庭での睡眠状況を把握し、リズムや体調に応じて柔軟に対応している。早めに目覚めた子どもには遊びの場を提供し、柔軟に対応している。5歳児の午睡は、就学を迎える準備期間であることから、生活リズムを整えていくことを保護者に伝え、1月からは午睡時間をなくし、保育内容を工夫している。その時間帯は、全職員で担当している。

登園時に家庭での様子を保護者との会話や連絡ノートなどで把握し、保育に配慮している。1日の保育の取り組みや子どものようすを0～2歳児は連絡ノートとあわせ、担当職員から口頭で伝えている。また、3～5歳児は連絡ノートと、その日の保育活動を「今日の活動」に掲示し、週の活動と合わせて、その日の活動内容の様子を知ることができる。「今日の活動」は園庭側のクラスの窓と玄関正面の掲示板の2箇所に掲示し、保護者にどの時間帯でも伝えることができるよう、配慮している。

子どもの年齢に応じて子どもが遊びこめるよう、環境に工夫がされている。1歳児の定数拡大に伴い、園舎改築や保育室の改装が行なわれ、統一感をもった低い棚で生活と遊び込める空間が確保されている。各クラスには年齢に応じたコーナーが設定され、子どもが自由に棚からままごとやお世話遊びなどの遊具を取り出せるよう、定期的に見直しをしている。園庭では、タイヤなど稼動可能な道具を用意し、自分たちで好きな遊びを主体的に展開できるよう配慮している。

子どもの年齢に応じて、「リズム」「食育活動」「行事」などの活動を通して、異年齢の交流を行なっている。0～2歳児は、毎週水曜日に「リズム」に取り組んでいる。訪問調査時に、1歳・2歳児がホールで交流をしながら、「リズム」を実施しており、初めに2歳児がお手本を見せるように行ない、続いて1歳児が楽しんでいる姿を見ることができた。3～5歳児は、午睡から目覚めた時に行なっている。調理保育では芋ほりで収穫したさつまいもを使い、「いも煮会」を3～5歳児が、こんにゃくちぎりや皮むき、包丁で切る作業を分担して作り上げている。

園庭や戸外遊びを通して、四季の変化を感じることのできる保育に努めている。園庭には桜の木があり、春は満開の花見ができ、花吹雪の散るもとで、遊んでいる。また、園庭の隅々の空間を活用し草花を植え、年間、プランターで野菜を育て、蝶や虫が集まる環境に努めている。子どもたちは昆虫に興味をもち、室内をカブトムシや園庭の虫・トカゲなど虫の博物館にし、図鑑で調べ、科学の芽と目を培っている。さらに、散歩のねらいを持ち、木々の紅葉の色づきや落ち葉の上を歩く音を聞くなど、自然を体感することのできる保育に努めている。

伝承行事(こどもの日、お月見、節分、ひなまつり)と、子どもの成長を披露する行事を行なっている。4歳・5歳児は12月、3歳児は2月に行なう「発表会」は、子どもが主体となり、日頃取り組んでいる活動から劇や音楽を披露している。5歳児は、何を行なうかを「にらめっこ」で決定しようと言い、行なってみるが、笑いでなかなか決まらず、最終的に話し合いとなる。そこまで、子ども達の思いを十分に取り入れた保育を展開し、日頃の絵本をもとに、子どもたちで劇のストーリーを創作することに決まり、達成に向け取り組んでいる。

保護者に行事への理解が得られるように、全体保護者会で年間行事計画を配布して伝えており、参加への依頼をしている。また、クラス懇談会でも行事の主旨を丁寧に説明し、理解と協力を得るようにしている。毎月発行している「園だより」でも、その月の行事案内を行ない、子どもの取り組みの様子は連絡ノートや、1日の活動の掲示で伝え、行事への理解を深めることができるよう努めている。保育参観は参加しやすいように年間を通して行なっており、保護者の希望に対応できるよう配慮している。

子育て支援事業では地域の在宅子育て親子と一緒に遊んだり、納涼会や運動会の行事に誘い、交流の機会を設けている。近隣の私立保育園とは継続的な交流を実施しており、子どもだけでなく、職員同士も保育交流につなげ、隣接している学童クラブの子どもは「納涼会」の時に1店舗出し、園と共に楽しみ、多様な関わりがある。小学校とは保小の連携を図り、小学校の5年生と給食体験があり、就学を意識した交流がある。今後は、5歳児の小学校への滑らかな接続のために、より充実した保小連携を進め、保育に反映していくことを期待したい。

朝夕保育での子どもが安心して過ごせるよう、ゆったりとした環境を整え、安全に配慮している。朝夕の時間は異年齢保育となるが、0～2歳児の発達を考慮し、できるだけクラス保育を行ない、少人数で安定して過ごせるよう職員体制をとり、家庭的な環境を整えている。朝夕保育の3歳児クラスに朝夕保育専用の玩具を用意し、定期的に玩具の入れ換えを行ない、年齢に応じた遊びを楽しむことができるよう配慮している。また、床にマットを敷き、子どもが寛げるコーナーを設定し、遊びのスペースを広げ、環境面でも安全性の確保に努めている。

夕保育担当職員は、保護者に連絡漏れがないように、朝の受け入れ時から1日の連絡事項を、記載している各クラスの「朝・夕保育日誌」と、園独自で作成している伝言メモを活用して対応している。「朝・夕保育日誌」には登園時の子どもや保護者の様子、保護者からの連絡事項を記載している。また、コンパクトな「伝言メモ」には、伝言事項や記入者名、伝言者名を明確に記載するようになっており、伝言漏れ防止に努めている。夕保育担当職員は、各クラスの「朝・夕保育日誌」からの引き継ぎ事項を確認し、保護者に漏れのないよう確実に伝えている。

子どもの1日の様子は、全園児への連絡ノートに加え、3～5歳児は各クラスごとに、その日の保育活動内容を「今日の活動」に記載し、掲示している。保護者は「今日の活動」を通して、1日の保育活動を知ることができる。加えて、延長保育の担当職員から、お迎え時にできるだけ保護者に口頭で子どもの様子を伝えるよう努めている。各クラスごとに週の活動予定が掲示されており、週の活動とその日の活動と連動して見ることができ、保育活動の理解をより深めることができ、保育の「見える化」につないでいる。

近隣2～3か所の保育園の栄養士で献立作成を行ない、0歳児の献立は自園で子どもの年齢状況に合わせて作成し、子どもの発達に配慮した栄養バランスのとれた給食を提供している。離乳食開始期では初食(初めて口にする食材)確認を家庭と連携して進めている。献立は2週間サイクルで作成され、1週間のサイクル終了後には職員会議で献立反省を行なうが、職員は毎日喫食状況や献立に対する意見や要望を記載し、調理に戻している。戻ってきた職員の意見などをもとに、毎日栄養士と調理員で献立反省会を実施し、次回の献立に活かしている。

0～2歳児は生活と遊びの空間を区切り、落ち着いた環境で職員との安定した関係性の中で食べている。子どもの月齢や生活リズム、体調に応じて丁寧に関わり、食事を進めている。テーブルの高さに合わせ、イスの高さや足が安定して床につくように、一人ひとりの子どもの体に合わせ、お風呂マットを切り重ねて調整をしている。2月の節分では「いわしバーグ」で鬼バーグを作っている。子ども達がごぼうの角や大豆の目、ほうれん草の髪の毛のパーツで自由に「鬼バーグ」を作り、楽しい食事の雰囲気づくりにも配慮している。

給食年間計画には、給食の「期別計画と配慮」や「食育」の項目を立て、月間指導計画を立案し、取り組んでいる。0～5歳児の月間指導計画の「健康」の領域や「食育」には、年齢発達に応じた指導内容を記載している。年間通して日当たりの良いベランダや、園庭のプランターで野菜(ナスやピーマン、じゃがいも、とうもろこしなど)を育て、給食食材の皮むきなども行なっている。収穫した野菜は子どもの目の前で調理し食べ、目で見て調理している際の香りや音など五感で感じる取り組みを実施している。

日頃から身の回りの危険について、子どもたちの年齢に応じた支援を行なっている。保育園生活や遊びの約束を、子どもの年齢に合わせてわかりやすく説明し、遊具の使い方や片付け方の指導を行ない、散歩時には歩道の歩き方や横断歩道の渡り方、室内での遊び方など危険回避を自分で考えることができるよう支援している。3～5歳児の廊下には、足型を床に貼り、右側通行になるよう工夫して、子どもたちが走らず、意識して右側を歩き、コーナーでの衝突を防ぎ、危険回避の力を育んでいる。看護師が関わり、「健康指導」も実施されている。

食物アレルギーや熱性痙攣など、医療的ケアが必要な子どもの情報を既往歴一覧に作成している。緊急時に即確認をすることができるよう保管場所も職員に周知をしている。また、緊急時対応のファイルには、「朝・夕保育および土曜日の疾病児の受診対応」や「職員の役割分担」「医療機関と受診」「救急車出動要請の基準」「通院先一覧」など整理しており、職員の誰でもが、慌てず、迅速な対応がとれる体制を整えている。加えて、保護者に「保育園での与薬について」を配布し説明しており、医師へ薬の処方での依頼「与薬についてのお願い」を用意している。

保護者に対して、入園説明や全体保護者会で「めぐろくの保育園ガイド」を配布し、感染症について口頭で説明している。感染症の情報は園だよりや保健の掲示でも早めに伝え、感染症発生時には、症状や潜伏期間、留意事項などを記載したシートを掲示し、保護者に注意を喚起し、感染予防や蔓延防止に努めている。乳幼児突然死症候群(ＳＩＤＳ）の予防のために、「午睡チェック」を0歳児は10分ごとに、子どもの呼吸状況や顔色・寝ている向きなどを確認し、1～5歳児でも午睡時担当職員が子どもの様子を確認し、日誌に記録している。

18時15分～19時15分まで1時間延長保育を実施している。保護者が安心して子育てをするために、保護者の価値観や個々の家庭の状況を、全職員で共有し、保護者の就労状況に配慮した保育サービスを行なっている。また、園独自に各クラスや事務所、調理ごとのスローガンを立て、子どもや保護者に向き合う保育を心がけている。保護者の急な残業時には電話連絡を受けて、保育時間の変更も柔軟に対応している。保護者の価値観や生活習慣の違い、事情に配慮し、個々の家庭や保護者に寄り添う保育に努めている。

保護者と職員の信頼関係を深めるために、クラス懇談会や保育参観、個人面談を行ない、保護者と職員の信頼関係を深める取り組みを行なっている。クラス懇談会では担当職員から子どもの様子や発達年齢の姿などを伝え、保護者からの保育や子育てについての質問などにも答えている。クラス懇談会のテーマは、出欠表の用紙に記載欄を設け、話してみたいテーマや要望をとり、集約した中から身近なテーマを決め、保護者主体のグループ討議ができる時間を考慮した、クラス懇談会を行なっている。

年度初めの全体保護者会やクラス懇談会、個人面談を通して、保護者に子どもの各年齢発達の特徴をわかりやすく伝えている。全体保護者会やクラス懇談会では、プレゼンテーション用ソフトを使って子ども達の発達の姿を見てもらい、子ども発達の姿と保育への理解を深めることができる機会となっている。また、さらに、保育参観と合わせて行なう個人面談では、子どもの発達の姿を捉え、成長の見通しを持つことができ、保育園と保護者で子育ての共通認識をもつことができ、共育てにつなげている。

保育園の専門性を活かした子育て支援事業「保育室(さくらのへや)の解放」「リズム遊び」「体験保育」「園庭開放」「離乳食講座」などを実施しており、在宅子育て家庭に保育のノウハウを還元している。また、園行事への誘いや「ちいさなおはなし会」「赤ちゃん体操」など多彩な取り組みを実施している。「区立保育園子育て支援行事予定表」は保育課や保育園、児童館、住区センターなどに置かれ、地域の家庭に幅広く周知している。加えて、職員は散歩時に「あそびにきませんか」のパンフレットを持参し、地域の親子に案内をしている。

多彩な子育て支援事業の交流の機会を活かし、在宅子育て家庭同士の交流の輪ができている。園の子どもたちとの交流に加えて、在宅子育て親子同士が遊びながら自然な形で交流する機会となり、子どもがほぼ同じ年齢であることから、子育ての悩みの共通点もあり、その場で話をする場面がある。近隣園合同で「公園で遊ぶ会」を実施しており、手作り遊具の紹介や手遊び、おはなし会など企画し、看護師や栄養士も加わり、子育て相談を受け、保育園が地域支援の拠点となり、在宅子育て家庭同士の輪が広がることの役目を担う事業を行っている。

子育て支援事業では、職員は在宅子育て家庭に積極的に言葉をかけ、コミュニケーションを取るよう心がけている。区では年3回、子育て支援会議を開催し、各園の担当職員からの意見や事業終了後には、参加者に感想を書いてもらい、各事業内容の振り返りを行ない、次回に活かしている。園でも子育て担当者が中心となり、毎月定例的に昼の会議で、振り返りを行ない、実施する支援事業に対する意見や要望・ニーズを把握し、分析して支援内容に反映させていく意向を持っており、さらなる子育てのヒントになる取り組みの充実に期待したい。

職員は区の個人情報保護条例により守秘義務が課されているが、年度初めには、職員に対して個人情報保護や公務上の守秘義務について必ず話をしている。園児の個人情報保護に関しては、外部に持ち出す必要がある場合は同意を得ることにしており、保育所児童保育要録は保護者の同意書を得たうえで入学する小学校へ提出している。園児の写真や動画の取り扱いについての区立園共通文書を常時掲示して、保護者が撮影できる機会として納涼会、運動会や発表会、卒園式の４行事に限定し、写真や動画のデータ送受信の禁止などをお願いしている。

夏のプール遊び・シャワーで水着姿や裸になる際には、外部の人から直接見えないようにしている。１階プールでは衝立を利用し、２階ベランダで行っている乳児組はベランダの柵にネットを張るなどして目隠しをしている。また、トイレ使用やおむつ替えの際も他の人に直接見えないように、窓ガラスにはカーテンを取り付けたり、２階・３階のトイレに設置しているおむつ替えのスペースには手製の衝立を用意して、子どもの羞恥心に配慮している。

保育方針に、一人ひとりを大切にしその子の良さをたくさん見つける保育を掲げている。保育室内環境は子どもが自分で遊びたい遊びを選んで遊べるように整備している。名前を呼ぶ際には愛称や略称、呼び捨てなどはせず、～ちゃん、～くんと一人ひとりの名前を正確に呼ぶようにしている。不安から担当の保育士の後を追って泣いてしまう姿が見られる場合など特定の保育士との信頼関係を築けるように職員が連携して補い、その子どもの気持ちに寄り添う保育を心がけている。

区立で共通の保育園運営の手引き、保育関係の手引き（保護者対応マニュアル、感染症対応マニュアル、記録の書き方、児童票の書き方等）を多数整備している。園独自の物として、園だよりを始め、園内研修・避難訓練等の計画を作成し具体的な取り組み内容を示している。園・主任のデイリーやフリー職員、看護師・用務・調理・非常勤・パート職員などそれぞれ職種の仕事内容についても、方針や具体的な仕事内容、役割などをわかりやすく決めている。これら手引書類は職員がいつでも見ることができるようにして置き、必要に応じて活用している。

月、期、年度毎に実施した行事等について、子どもの様子や保護者からの反応、職員の意見や感想などを基に、サービスの基本事項や手順について職員会議で検討・確認している。保護者参加行事の後には保護者アンケートを実施して、連絡帳などからも寄せられる意見とともに翌年の行事に活かしている。年２回実施しているクラス懇談会では、保護者が話したいことを事前アンケートでリサーチして懇談のテーマを決めることもしている。年度末には、提供しているサービスや業務の手順等について職員会議で意見交換し、必要がある場合は見直ししている。

昼の打ち合わせは、月１回ペースで各クラス会議やリーダー会議、ブロックリーダー会議、献立反省などを開催し、夜の打ち合わせは月１回の職員会議と半月の保育を振り返り保育指導計画作成するためのクラス打ち合わせを実施している。その他に事故プロジェクトとして、環境改善・事故検討委員会を月１回開催し、年間計画を作成して園庭や園内の点検、怪我や事故を減らす手立てを検討し、毎月の伝言メモの検証をして、事故を未然に防いだり環境を整えていく取り組みをしており、職員会議で結果を報告している。