成年後見制度の活用にむけて

● 目次 ●

  • 第1回
    成年後見制度とは

  • 第2回
    成年後見制度の活用に向けた東京都の取組について(東京都福祉保健局)

  • 第3回
    市町村の取組について

※この特集記事は平成18年に掲載されたものです。


第3回市町村の取り組みについて

今回は、区市町村の取り組みとして世田谷区の取り組みおよび調布市、日野市、狛江市、多摩市、稲城市における5市共同の取り組みをご紹介いたします。それぞれの地域の状況について、世田谷区成年後見支援センターの田辺仁重さんと多摩南部成年後見センターの竹市啓二所長にお話をうかがいました。

多摩南部成年後見センター

多摩南部成年後見センターの設立について

平成12年の民法の一部改正に伴い、調布市では、成年後見制度が市民ニーズとして問題意識が芽生えることを想定し、同年度に実施した「高齢者、知的障害者及び精神障害者に対する意識調査」や「関係機関に対する実態調査」、また、「調布市利用者保護施策調査検討委員会」における検討等を経て、平成13年度から、法人による後見・支援の事業化に向けてモデル事業(14年度は近隣市を含む7市による実施)を実施してきました。そのモデル事業をすすめるにあたっては、以下の仮説を立てて取り組んできました。

  • 地域福祉権利擁護事業と成年後見制度の良いところを併せ持った生活全般を支えるサービスを実施する。
  • 成年後見制度またはその枠組みを利用する
  • 判断能力のない人だけでなく、身体障害者等、幅広い層が利用できるようにする。
  • 財政面においてもメリットのある、複数市で広域的に活動する新法人を立ち上げサービスを提供する。

こうした経過を踏まえ、有限責任中間法人多摩南部成年後見センター(以下、センター)が、平成15年7月に調布市内において法人設立され、同年10月に事業を開始しました。運営は、調布市、日野市、狛江市、多摩市、稲城市の5市が共同でおこなっています。

多摩南部成年後見センターの概要

センターは、調布市、日野市、狛江市、多摩市、稲城市の5市を対象地域として、主に以下の事業を実施しています。

  1. 後見事務等の提供(任意後見事務含む)
    • 財産管理、日常生活費の管理・費用支払いの金銭管理
    • 福祉サービスの利用契約の締結・費用支払い・処遇チェック  など
  2. 地域福祉権利擁護事業の補完としての福祉サービス利用援助事業の提供
  3. 契約に基づく見守り、代理等の援助の提供
    • 判断能力がある方に対する定期訪問や支払い代行・代理など
  4. 後見監督人等への就任
    • 家庭裁判所からの要請に基づき後見監督人、保佐監督人、補助監督人、任意後見監督人への就任
  5. 本人及び親族の意思に基づく葬送等の執行
  6. 成年後見制度に関する広報・普及・啓発
  7. 市長申立に必要な親族調査及び書類準備  など

2.については、判断能力が著しく低下して早期に地域福祉権利擁護事業の対象外となるような方等について、当初からセンターにおいて福祉サービス利用援助事業を提供していくことにより、地域福祉権利擁護事業からの引き継ぎによって、サービスの担い手や担当職員が変更してしまうデメリットを回避することができます。
また、センターの竹市啓二所長は、3.の見守り等の援助と5.の葬送等の執行に関して、それぞれ「身体障害者を含めた見守りや代理などの援助について取り組みたい。」「利用者が亡くなれば意思表示はできなくなり、後見人の権限もなくなりますが、特に身よりのない方については、死亡後の対応を行うこともあります。」と述べ、制度の枠だけではない幅広い取り組みの姿勢を示しています。
センター事業について、特に竹市所長が強調していた点は、センターのセーフティネットとしての役割についてです。身よりがなく申立人がいなかったり、申立費用や後見人報酬が払えないような経済的に困窮している人を中心に対応しています。そのため、センターで対応しているケースの殆どが市長申立です。申立者は市長ですが、必要に応じ、7.の対応も行っています。

センターの常勤職員は、所長を含め5名。4名の職員は、支援員として、利用者処遇の中核を担っています。しかし、センターでは、利用者の生活全般を支えているため、幅広い分野に対応しなければなりませんが、現在の支援員は専門が主に福祉分野のため、法律面や医療面など、支援員による対応が難しい事項についてサポートする「顧問」を設置し、専門家が状況に応じて支援員をバックアップできるようにしています。また、利用の開始および利用者への処遇が適切であるかどうか等、審議指導する業務指導委員会も設置しています。
平成18年度からは新しく地域支援員を非常勤で配置して、より身近な地域で、定期的な利用者宅の訪問などの日常的な処遇を担っていきます。「これは、広域展開しているセンターの地域性を補完していくとともに、利用者のニーズに対するキャパシティ増強のための具体的な手法として考えています。」と、竹市所長は語ります。

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