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特集記事

介護施設のICT化とロボットの活用で介護はどう変わるか

介護ロボット等の施設導入から生じた好影響と悪影響
介護ロボット等の施設導入に係る課題と今後の展開について

介護ロボット等の施設導入に係る課題と今後の展開について

2 今後の展開について

 介護ロボット等の導入が進んだ介護現場では、介護職員の身体的・精神的負担の軽減とともに利用者のQOL(Quality Of Life)が改善し、直接的な効果としてケアの質と働き易さが向上します。また、このような施設には “組織力” があり、つまりは課題解決力が高く必然的にチームワークの良い組織であることから、更なる働き易さという副次的な効果も期待できます。介護ロボット等の普及促進が謳われる背景には、これらの導入効果が介護現場の離職防止と人材の参入に促進的に働き、激化する人材不足の緩和に資する狙いや期待があるのです。

 しかし、介護ロボット等を活用していることで職員が採用できたとしても、施設から施設へと業界内で人が回っているだけでは人材不足の根本的な解決にはなりません。介護ロボット等の導入が福祉(介護)業界の人材不足の緩和に資するためには、一部の施設による活用にとどまらず広く業界全体に活用が進み、業界全体が “専門性” を深め、業界全体で ”働き易さ” を高め、業界全体の “魅力” を向上させていく必要があるのです。

 現在、東京都では、公益社団法人東京都福祉保健財団が「次世代介護機器の活用支援事業」を東京都と連携して実施し、都内介護サービス事業所を対象として介護ロボット等の効果的な導入に向けた取り組みを行っています。他施設のモデルとなる「アドバンスト施設」を養成しており、特養・老健等の高齢者分野から17施設が機器の導入から活用までを進めています。また、東京都は障害者施設においても令和2年度の新規事業として「ICT機器導入支援モデル事業」をスタートさせており、年度内に6つのモデル施設が誕生する予定です。モデルとなる施設が増えることや分野を超えた連携が進むことで、介護ロボット等の活用は一層発展していくことになるでしょう。