介護保険の動向と実際例 第1回 介護保険制度の利用までの道のり

3 まとめ

  •  高齢者を取り巻く環境、介護保険や医療保険制度の改正、「自助・互助・共助・公助」という考え方の変化等と同時に、少子化の問題や、東京圏への人口の一極集中の問題も起きています。社会福祉の大枠は、起きてしまったあるいは起きてしまうであろう「社会問題」への公的関与・救済等手段の構築にあります。高齢者介護が大きな課題であり、それへの対応は重要ですが、同じ社会の問題として、少子化生涯未婚率の上昇非正規就労の増加等は、医療・介護に係る社会問題に関連し、よりその問題を複雑にします。
  •  例えば、若者の非正規就労の増加は、自分の生活が手一杯であれば、近隣の助け合いへの心のゆとりはなくなるでしょうし、未婚率の上昇へつながり、子どもの減少となり、高齢社会の進展に拍車をかけるなどです。
  •  また、人口減少下で「移民」の問題が出てきています。その中では介護分野での移民の問題が出てくるかもしれません。そうしたときに、日本の若者の働くこと・結婚・子育てへの関心・行動はどう変化していくのでしょうか。
  •  今回の改正が進む中で、社会福祉法人や医療法人のあり方等も検討されています。福祉サービスの提供主体として1951年以来60年以上存在し続けた社会福祉法人は、これからどこに向かうのでしょうか。
    →「社会福祉法人の在り方について」の報告書が7月4日に公表されました(厚生労働省HP「社会福祉法人制度の在り方について」(報告書))。そこでは、社会福祉法人の公益性に鑑(かんが)み、「地域への貢献の取り組み」が強く打ち出されています。その他、理事会等のガバナンスの明確化、財務諸表等の公表、規模の拡大、医療法人等とのホールディングカンパニー化等の方向性が示されています。
  •  目を海外に転じると、介護移民の問題だけで無く、介護事業の海外との連携も散見されます。
  •  今回の制度改正は、周辺に様々な問題を孕(はら)む、難易度の高い改正のようです。

▼ご登録はこちら▼メールマガジン

最新記事の掲載をメルマガでお知らせ!