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介護保険の動向と実際例 第5回 平成27年度介護保険制度改正の動向(その2)

2 介護保険制度における指導監督について

1. 介護保険における指導監督業務の適切な実施について
  1.  指導・監査指針に基づいた指導監督の実施等
  2.  不正事案等における厳正な対応
2. 介護サービス事業者の業務管理体制に関する監督について
  1.  業務管理体制に関する届出の未済防止について
  2.  業務管理体制に関する確認検査について
  3.  国に対する情報提供等について
3. 適切な指導監督等の確保における実施体制の整備
4. 指導監督業務の事務・権限の委譲について

 平成25年12月20日「事務・権限等に関する見直し方針について」が閣議決定されたことにより、平成27年度から以下の事務・権限が委譲される。

  1.  地方厚生局から都道府県へ委譲される事務・権限
  2. ・ 介護サービス事業者(介護サービス事業所が2以上の都道府県の区域にわたる事業者)の業務管理体制の整備に関する監督
  3. ・ 市町村(指定都市及び中核市を除く)が行う介護サービス事業所の指定及び指導監督等に関する指導
  4.  都道府県から指定都市へ委譲される事務・権限
  5. ・ 介護サービス事業者の業務管理体制の報告の受理・命令等(中核市には委譲されない)

  指導監査と実地指導について

 不正請求等による事業者指定の取消は後をたちません。それはそれとして、地域包括ケアシステムの構築を考えるとき、ケアマネジャーをはじめとするサービスの質・スキルアップが必須です。指定基準及び報酬の要件の是非についての指導は必要ですが、それだけでは足りません。質のアップのための、きめ細かな指導が必要です。それは実地指導として実施されているはずですが、その質の確保も課題となっています。質について、理解不足のままでの指導は、サービスの質の向上ではなく、低下を招きかねません。地域包括ケアシステムの構築が課題ですが、それを支えるサービスの質の向上のための指導としての監査・実地指導の水準の引き上げは喫緊の課題ではないでしょうか。

3 第6期介護保険事業計画の策定準備について

 第6期以降の介護保険事業計画は「団塊の世代」が75歳以上となる平成37(2025)年に向けた、いわば「地域包括ケア計画」として、在宅医療・介護連携の推進等、「新しい総合事業」に積極的に取組み、市町村が主体となって地域づくり・まちづくりを本格化していく必要があります。
 このため、計画策定の準備に当たり、各都道府県・市町村の介護保険担当部局は、民生、保健医療、衛生、労働、住宅、地域振興等の関係部局と連携することができる体制を整備する必要があります。

図3 介護保険事業計画の位置付け 介護保険事業計画の位置付け
*全国介護保険担当部(局)長会議(平成25年11月21日)資料

図4 市町村における地域包括ケアシステム構築のプロセス(概念図) 市町村における地域包括ケアシステム構築のプロセス(概念図)
*第46回社会保障審議会介護保険部会(平成25年8月28日)資料

図5 介護保険事業計画の策定のプロセスと支援ツール 介護保険事業計画の策定のプロセスと支援ツール
*全国介護保険担当部(局)長会議(平成25年11月21日)資料

  第6期介護保険事業計画の策定

 今回の介護保険事業計画の策定に当たっては、地域包括ケアシステムの構築が大きな課題です。
 大まかに、事業計画策定の根拠やプロセス等が示されてますが、これまでの計画とは質が違っています。単なる作文ではなく、いかに内容を実体化(実現する)できるかが問われます。前段階として、関係部局との連携の基に、計画策定を行う必要があると述べられていますが、保険者によっては関係部局の連携が難しい。縦割り行政として、それぞれが仕事を抱えて余裕がないときには、所詮介護保険事業計画策定は介護保険所管課の仕事として映るのではないでしょうか。地域包括ケアシステムについての認識の共有、当該自治体の特性、計画策定の課題の共有、そして当事者としての計画策定への参加等の意識が、関連部局に生まれないと、連携した取組みは難しいと思われます。本当に一部と思われますが、すでに関連部局の連絡会を設置し、検討に着手している保険者もあります。住まいにしても、医療連携にしても、住民団体の参画にしても、介護予防にしても、ひとつひとつが大きな課題です。それが地域包括ケアシステムの構築、第6期介護保険事業計画の策定に向けて、ベクトルを揃える必要があります。誰がそれを担うのか、そのリーダーシップや、参加者の柔軟な対応が求められています。その意味で今回は保険者の総合力が試されると言えるかもしれません。



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