4. まとめ
以上のように地域包括ケアシステムの構築に向けた業務はスタートした。国が示している事例等も、一つの標準として理解し、それを具体的な形で地域に当てはめたときに、どうすれば、その趣旨・目標が生きるのかを考えながらの準備である。
また、今回の改正の動機はさておき、内容的には従前のサービス提供のやり方の延長ではその実現が難しい。サービスの提供のしくみの見直しも必須となる。軽度者への支援の方法も変わる。それらをソフトランディングさせ、生活の場を確保するしくみ作りをしなければならない。
地域性でいえば、旧農村部では、限界集落への移行のリスクへの対応も検討課題になると思われる。
また、新興住宅地では、地域包括ケアのモデルとして、柏市豊四季台団地(かしわしとよしきだいだんち)の取組みは有名であるが、豊四季台団地は集合住宅団地であり、家主(UR=(独法)都市再生機構)がいての立て替えである。立て替えに際して、高さ制限や容積率の緩和を行えば、余剰物を加えることができるので、環境整備が整えやすい。しかし、ローンを払って獲得した戸建て住宅団地での立て替えは、現実的には極めて困難である。高度経済成長の終焉からほぼ40年、同様の新興住宅地は日本各地に多々あると思われる。道は遠いけれど、できるところから一歩いっぽ、歩んでいくことになる。
(参考)
第46回社会保障審議会介護保険部会資料(平成25年8月21日掲載)厚生労働省
1. 資料1 社会保障制度改革国民会議報告書
2. 資料3 地域包括ケアシステムの構築に向けて