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介護保険の動向と実際例 第2回 地域包括ケアシステムの構築に向けて

1. はじめに

 地域包括ケアについては様々な批判はあるが、社会保障制度改革国民会議報告書(平成25年8月6日)、社会保障審議会介護保険部会資料(第46回平成25年8月28日)における「地域包括ケアシステム」関連部分をみると、その実現に向けた国の意思が伝わってくる。
 また、地域包括ケアシステムの構築に向けた取組みと併せ、平成27年度介護保険制度改正(平成26年度法改正予定)において、要支援1.2の軽度者の介護保険本体からの切り離し(地域支援事業への移行)、特別養護老人ホームの利用対象の中重度化(要介護3.4.5)、通所介護の機能分化、利用者負担の増等が予定されており、これらとの整合を図りながら、全体像を見ながら作業を進めていく必要がある。
 なお、地域包括ケアシステムの理解のためには、社会保障制度改革国民会議(以下「国民会議」という。)及び社会保障審議会介護保険部会(以下「介護保険部会」という。)の内容を見ておく必要がある。また、その考え方等は国民会議の報告書に示されている。

1 国民会議の報告

報告書(概要版)では、次のような考え方が示されている。
(1〜5は「概要版」の抜粋。青字は筆者による留意点)

1.社会保障制度改革推進法の基本的考え方
  •   自助・共助・公助の最適な組合わせ
  •  自助を基本としつつ、自助の共同化としての共助(=社会保険制度)」が自助を支え、自助・共助で対応できない場合に公的扶助等の公助が補完する仕組みが基本
  •   社会保障の機能の充実と給付の重点化・効率化負担の増大の抑制
  •  政策効果を最小の費用で実施できるよう、同時に徹底した給付の重点化、効率化が必要
  •  現在の世代に必要な給付は、現在の世代で賄うことが必要であり「自助努力を支えることにより、公的制度への依存を減らす」こと
  •   社会保険方式の意義、税と社会保険料の役割分担
  •  日本の社会保障は、社会保険方式が基本
  •  日本の社会保険には多くの公費が投入されているが、公費の投入は低所得者の負担軽減等に充てるべき。一方、保険者の制度間の負担の調整は基本的に保険者間で行うべきであり、原則として公費投入に頼るべきではない
  •  給付と負担の両面にわたる世代間の公平
  •  将来世代への負担の先送りを速やかに解消する
2.社会保障制度改革の方向性
  •   「1970年代モデル」から「21世紀(2025年)日本モデル」へ
  •  超高齢化の進行、家族・地域の変容、非正規労働者の増加など雇用の環境の変化などに対応した全世代型の「21世紀(2025年)日本モデル」の制度へ改革する
3.医療・介護サービス提供体制改革
  •  医療と介護の連携と地域包括ケアシステムというネットワークの構築
  •  「医療から介護へ」、「病院・施設から地域・在宅へ」の観点から、医療の見直しと介護の見直しは一体となって行う必要
  •  地域包括ケアシステムづくりを推進していく必要があり、平成27年度からの介護保険事業計画を「地域包括ケア計画」と位置づけ
  •  地域支援事業について(略)新たな効率的な事業として再構築。市町村が地域の実情に応じ、住民主体の取組等を積極的に活用し、柔軟かつ効率的にサービスを提供できるよう受け皿を確保しながら、段階的に新たな事業に移行(※)
    ※=移行時期について、新聞報道によれば2015年度〜2017年度の間とのこと
4.医療の在り方
  •  多様な問題を抱える患者にとっては、総合診療医による診療の方が適切な場合が多く、その養成と国民への周知を図ることが重要
  •  死生観・価値観の多様化も進む中、(略)人生の最終段階における医療の在り方について、国民的な合意を形成していくことが重要
5.介護保険制度改革
  •  一定以上の所得のある利用者の負担は引き上げるべき
  •  食費や居住費についての補足給付の支給には、資産を勘案すべき
  •  特養は中重度者に重点化を図るとともに、デイサービスは重度化予防に効果がある給付への重点化を図るべき
       (特養=特別養護老人ホーム)
  •  介護納付金について、負担の公平性の観点から、総報酬額に応じたものとすべきだが、後期高齢者支援金の状況も踏まえつつ検討
  •  引き続き、介護サービスの効率化・重点化に取り組む必要

 基本的考え方として、自分のことは自分で行うこととし、公的制度が補完することを基調としつつ、公的制度への「依存」は減らすべきと述べている。「公的制度」の利用を「依存している」と認識し、その利用を減らすことが望ましいと述べているのは踏み込みすぎとは思うが、「税」負担を減らしたいという切羽詰まった思いはよく伝わってくる。日本の社会保険の財源構成は税と社会保険料と利用料で構成されているが、これもなるべく社会保険料で賄えるようしくみを変えようと述べている。
 そのような考え方を踏まえた介護保険制度改革の項目では、効率化・重点化として、軽度者を介護保険本体から地域支援事業へ移行、利用料の引き上げ、サービスの重点化等について報告されている。
 その背景にあるのは、見通しが立たない人口減少、非正規雇用の増加、政府の債務の増加への不安であろう。この改革により、国民の将来への不安・生活の不安が解消するかは、また別の問題である。


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