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介護保険法の改正後の動向について 第6回 平成25年度の介護保険制度の動向~全国厚生労働関係部局長会議から~

2 地域ケア会議

  1 地域ケア会議

 以上を踏まえて地域包括ケアシステムの実現を図ることは、難易度が相当高い。実態として、施設入所・入院が厳しい中、在宅生活継続のための、社会資源を活用したケアプランの作成や新たな社会資源の開発、地域のネットワークづくり等が必要になるが、解決の一つの手法として「地域ケア会議」の活用が想定されている。    
 地域ケア会議については、別添のようなイメージである。その背景は、先に説明した理由による。

表3「地域ケア会議」について(全国厚生労働関係部局長会議資料から)
     
 
地域包括ケアシステムの構築のためには
 
①高齢者個人に対する支援の充実
②それを支える社会基盤の整備
とを同時に進めていく必要がある。
地域ケア会議は、それを実現するためのツール。具体的には
 

多職種の第三者による専門的視点に交えて、ケアマネジメントの質の向上を図り、高齢者の在宅生活の限界点の引き上げ、
また、個別ケース課題分析等の積み重ねにより、地域課題を把握し、

地域に必要な資源開発地域づくり、さらには介護保険事業計画への反映などの政策形成につなげる
個別ケースを検討する会議は、主に地域包括支援センターが開催。
一方、地域づくりや政策形成等につなげる会議は市町村が開催。
 
     

 別添 地域ケア会議のイメージ1
図1 地域ケア会議のイメージ1

 別添 地域ケア会議のイメージ2
図2 地域ケア会議のイメージ2
 (上記1.2ともに全国厚生労働関係部局長会議資料から)



  2 地域ケア会議の運営

 上記のように地域ケア会議は、地域包括ケアシステム等の構築のために大きな役割を持っている。
 地域ケア会議では、①ケアマネジメントの質の向上、それは具体的なケースの検討を通じた実践的なケアプランづくりであり、かつ当該プランを所管する居宅介護支援事業所とのプラン作成等のプロセスを通じた研修効果といったことが期待されている。    
 また、具体的ケースの検討を踏まえて、②地域のネットワークづくりや社会資源の開発第6期介護保険事業計画への反映等が役割として求められている。    
 役割に着目しつつも地域によっては他の方法で実施しているところもあると思われるし、やり方については地域性を反映したオリジナルな方法もあると思われる。しかし、どのような方法をとるにしても、解決すべき課題の克服に向けた取組が求められていることに変わりはない。    
 これも市町村によって大きな格差が生じると思われる。研修というと事業者研修が中心であったが、今後、市町村のスキルアップのための研修等も課題となると思われる。


  3 地域ケア会議関連予算

 25年度の厚生労働省予算(案)において、市町村事業(10/10補助 @100万円)として、
  ア 地域ケア会議立ち上げ支援    
イ 地域ケア会議を効果的に実施するために必要な支援
分が、新たに予算計上されている。

3 まとめ

 以上のように、全国厚生労働関係部局長会議では、地域包括ケアシステムの構築、そのための地域ケア会議等の設置促進に向けた取組が重点事項としてとらえられている。この中には、当然介護予防も入り、また自立支援型ケアマネジメントや自立支援型のサービス提供等についても含まれてくる。  
 これらの内容は、平成24年度改正の実施体制の強化の一環だとしても、市町村による取組の濃淡が顕著に表れると思われる。市町村格差である。今回の制度改正及びしくみは、これまでの介護保険の運営を大きく変える質の転換を含んだものである。  
 制度施行から13年、改めて原点を見直すと共に、保険者の実施体制の強化に本腰を入れないと、実施体制の格差は一層広がる。当然、利用者や事業者もその渦に巻き込まれることになる。

(参考) 1. 全国厚生労働関係部局長会議(厚生分科会)資料(平成24年2月21日掲載)厚生労働省