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介護保険法の改正後の動向について 第4回 ケアマネジメントのプロセスの課題

3 ケアマネジメントのプロセスの課題

 問題がこじれている背景の一つに、ケアマネジメントの現状についての共通認識がないことにあると思います。分析し、課題を抽出し、処方箋原案をつくり、カンファレンスで情報共有を図り、プランを作成するというのは、ケアマネジメントの手続きですが、その実施は相当難しいと思われます。
 図1は自立支援型のケアマネジメントのイメージです。
自立支援型の方向性として、介護保険法第2条に示された理念に則ってケアプランを作成するためにはどうすれば良いでしょうか。
 その具体化されたものが日本総研の報告書に新様式(案)として示された「第2表」(課題整理表)であり、また、主としてAの領域(又はBの領域)において重度者や医療必要者に対応する「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」や「複合型サービス」といった新たなサービスです。これらを全体に取り込んだ自立支援型ケアマネジメントを実践していくことによって、地域包括ケアが推進されていくと思われます。

図1 自立支援型ケアマネジメントのイメージ図
自立支援型ケアマネジメントのイメージ図

 また、ケアマネジメント現場の実情から、ケアマネジャーを支援しスキルアップする仕組みとして、「地域ケア会議」を生み出したと言えると思われます。付け加えますと、自立支援型ケアマネジメントとは、「潜在能力を引き出し」、「生きる力(エンパワメント)を引き出し」、「社会資源の活用」の三点セットではないでしょうか(図2)。ポイントは「生きる力」で、それがどのようにすれば実現できるのか、明確には説明できませんが、しいて言えば、そのあたりがケアマネジャーの「専門性」に当たるように思われます。

図2 自立支援型ケアマネジメントのイメージ2
自立支援型ケアマネジメントのイメージ2

 図1の考え方の課題としては、現状の克服を目指すあまり、目標指向型のケアマネジメントになってしまった点にあると思います。自立支援型ケアマネジメントの幅としては、機能改善型や重度者・医療必要者に対する新サービスとともに、死を迎えるための生活を支援するケアマネジメントや「普通の死に向かう生活」の実現のためのケアマネジメントといった選択肢があっていいのではと思います。これは、図2の実現を目指すケアマネジメントのイメージです。それは、給付管理型のケアマネジメントとは全く異なるものです。