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介護保険法の改正後の動向について 第4回 「介護支援専門員の資質向上と今後のあり方に関する検討会」資料から読む

  2 自立支援型ケアマネジメントは新しい考え方か

 自立支援型ケアマネジメントは新しい考え方かと言えば、否と言うことができます。元々、介護保険法の理念等(法第2条)で言われていたもので、なぜか現実には実現されていなかった、あるいは実現する方向性がなかったので、今回の改正はその示された理念の原点に戻っただけという見方もあります(介護保険法第2条、第4条参照)。第2条には「要介護状態又は要支援状態の軽減又は悪化の防止に資するよう」、「適切な保健医療サービス及び福祉サービスが多様な事業者又は施設から・・・提供」、「要介護状態となった場合も、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」保険給付が行われると規定されています。
 このような観点で居宅サービス計画(ケアプラン)が作成され、サービスが提供されていたのでしょうか。これについて、日本総研の調査研究があります。例えば、多様なサービスが提供されているかについての結果は表1のとおりです。通所介護は、どの要介護度でも比較的多く利用されていることがわかります。  

表1 要介護度別サービスの利用状況
  訪介/身体 訪介/生活 訪問看護 通所介護 通所リハビリ 短期入所
要介護1 23.4% 34.8% 6.4% 58.9% 22.6% 7.3%
要介護2 29.1 29.4 9.6 58.2 23.0 13.1
要介護3 31.7 22.7 12.8 62.7 23.8 22.3
要介護4 40.5 19.4 24.0 58.5 23.7 25.8
要介護5 52.4 18.3 44.3 45.6 19.4 29.1
日本総研の報告書を加工
「訪介」=訪問介護、「通所リハビリ」=通所リハビリテーション、「短期入所」=「短期入所生活介護」
グラフ1
地域包括ケアシステムのイメージ

 しかし、この結果からは、介護保険の理念に基づきサービスが提供されていたかはわかりません。
 次に、居宅サービス計画に多様な社会資源が位置づけられていたかという点ではどうでしょうか。介護保険外サービスの利用状況の調査も行われています。

表2 保険外サービスの利用状況
  家事援助 配食サービス
要介護1 10.5% 10.2%
要介護2 9.0 7.8
要介護3 6.9 6.6
要介護4 7.0 5.7
要介護5 6.6 3.3
グラフ2
グラフ

 

 配食サービスと家事援助だけの調査ですが、要介護度が重くなるほど利用が減っています。どう考えれば良いのでしょうか。社会資源が十分活用されているかは不明です。
 また、独居か同居かの調査も行われています。独居の割合が比較的高いことが認められます。ただし、独居の高齢者の多くは、近所に親族がいることが推測されます。

表3 同居か一人暮らしか 
  同居 一人暮らし
要介護1 69.2% 30.8%
要介護2 76.5 23.5
要介護3 85.3 14.6
要介護4 88.6 11.3
要介護5 90.8 9.2
 しかし、このようなデータからは、「要介護状態又は要支援状態の軽減又は悪化の防止に資するよう」、「適切な保健医療サービス及び福祉サービスが多様な事業者又は施設から・・提供」、「要介護状態となった場合も、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」ケアプランが作成されていたかはわかりません。
 そのため、遅すぎる気がしますが、検討(案)では「現状のケアプランの実態を把握し」、「ケアマネジメントの質の向上のための評価・検証を行う」としています。