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介護保険法の改正後の動向について 第2回 24年度介護保険法改正を介護報酬から読む

4 まとめ

 以上のように、今回の改正は、地域包括ケアシステムの構築をめざし、在宅での重度者や医療が必要な者への対応のための医療介護の連携加算、軽度の人の在宅適応能力を一層高めるための機能改善に関わる加算、その一方で重度の人の看取りを視野に、介護施設等での看取り介護加算等が積極的に展開されています。
 しかし、一方で問題も生み出しています。例えば、通所介護の時間帯の変更に当たって、6時間から7時間に変えれば収入が増えることから、 積極的に7時間への移行を行う事業者においては、どれほど利用者の移行やプログラムの検討が行われたでしょうか。単に、収支の改善のみをもって、変更した事例も少なくはないと思います。
 サービス単価が、頻繁に変わり、事業の中期計画の作成が難しいとは、よく耳にする話ですが、そのような制度設計であるため、余計「今の利益の確保」に走らざるを得ない事業者の姿もあるかも分かりません。
 事業者が安心して将来を見越して事業が行える環境の整備が必要であり、その中で質の良い人材の養成・確保が行えるような、制度改正が求められています。
 なお、介護報酬改正の結果、支給額がどう変化したかは、順次明らかになってきます。

(参考)

  1. 平成24年2月23日「全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会資料、(別冊)介護報酬改定関係資料」(厚生労働省老健局 )
  2. 介護保険最新情報 外厚労省作成資料等