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福ナビ >> 特集トップ >> 福祉と人権を考える(H17)目次 >> 人権侵害の実態



目次
福祉と人権を考える(H17)目次
1「人権週間」に考えて見ましょう
(1)はじめに
(2)平成17年 第57回人権週間の強調事項
2 国連や国の取組み
(1)世界人権宣言と国際人権規約
(2)「人権教育のための国連10年」と我が国の取組み
(3)人権擁護法案のゆくえ
3 人権侵害の実態
(1)平成16年人権侵犯事件の状況
(2)差別虐待の現状
(3)新たな人権問題
(1)福祉関係者と人権
(2)「利用者本位の福祉」と人権の尊重
(3)福祉施設における取組事例

3 人権侵害の実態


(1)平成16年 人権侵犯事件の状況

「自分は差別や虐待をしたこともされたこともない」という人がいるかもしれません。しかし、今でも人権問題は私たちの身近で起きています。

法務省の人権擁護機関が取り扱った平成16年中の「人権侵犯事件」の状況について取り上げてみます。

○ 新規に救済手続を開始した人権侵犯事件数は、22,877件(内、公務員、教育職員等による人権侵犯にかかるもの2,070件、私人間の人権侵犯にかかるもの20,807件)。平成15年を約20%上回る(4,091件)大幅な増加で,過去最大の件数となりました。

○ 事件の内容は、公務員等の職務執行に伴う人権侵犯事件では、「いじめ」に対する学校側の不適切な対応等が584件、教職員による体罰が218件、刑務職員によるものが353件、警察官によるものが217件となっています。

私人間の人権侵犯事件では、暴行虐待(夫の妻に対する暴行、児童虐待等)が5,135件、強制強要(離婚の強要、職場での嫌がらせ等)が6,162件、住居の安全に関する侵犯(騒音を巡る近隣間の争い等)が4,562件、プライバシーに関する侵犯が1,496件、労働権に対する侵犯が1,020件、差別待遇が1068件です。また、社会福祉施設における侵犯については146件ありました。

○ 救済手続の開始件数が大幅に増加した最大の要因は,いわゆる「オレオレ詐欺」,「架空請求」などの「振り込め詐欺」に係る事件の急増にあります。これらの事件は,平成15年の135件から16年には3,454件に増加し、開始件数の約15%を占めています。

公権力による人権侵害のほか、差別、虐待の事案にみられるように私人間における人権侵害も深刻な社会問題になっています。

(2)差別虐待等の現状

日本の人権侵害の現状をみると、差別と虐待という問題が顕著となっています。その中で、私人間でみると、次のような問題があります。

差別の関係では

○ 女性、高齢者、障害者、同和関係者、アイヌの人々、外国人、HIV感染者、同性愛者等に対する雇用における差別的取扱い

○ ハンセン病患者、外国人等に対する 商品・サービス・施設の提供等における差別的取扱い

○ 同和関係者、アイヌの人々等に対する 結婚・交際における差別

○ セクシュアルハラスメント

○ アイヌの人々、外国人、同性愛者等に対する嫌がらせ

○ 同和関係者、外国人、同性愛者等に関する差別表現

虐待の関係では

○ 夫、パートナーやストーカー等による女性に対する暴力

○ 家庭内、施設内における児童・高齢者・障害者に対する虐待

○ 学校における体罰

○ 学校、職場等における「いじめ」

これらの問題は、その性質上潜在化しやすく、回りの人が気付かないうちに深刻化しているものが少なくありません。差別や虐待など人権問題をなくすには、一人ひとりが人権を理解し、差別や虐待を受ける人の心の痛みや苦しみを自分のものと受け止め、差別や虐待を許さない強い心を持って行動していくことが大切です。

(3)新たな人権問題

また、近時、社会問題化しているものとして、マスメディアによる犯罪被害者等に対する報道の問題や、少年被疑者等へのプライバシー侵害・名誉毀損等の問題があります。また、特にインターネットの普及に伴って、差別表現の流布などインターネットによるプライバシー侵害・名誉毀損の事案が急伸しています。

そのほか、高齢者・障害者にかかわる家族等によるその財産の不正使用や悪質な訪問販売・悪徳商法による財産侵害の問題があるとともに、前述の「振り込め詐欺」などに係る事件が急増する等、様々な事案が新たな人権の問題としてあげられます。

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